Cocky Crew Store インタビュー1 「移転経緯と古いとは」
ここ最近ずっと気になっていたお店がある。
個人的に30代の頃から服だけではなく、服飾小物や雑貨、インテリアにも興味が出てきた。
そんな気分にピッタリと合うセレクトのお店だと思ったのがCocky Crew Store(クッキークルーストア)。
少数精鋭で買い付けられたヴィンテージアイテム。
小物や雑貨も数だけで言えば服と同じかそれ以上あるのではないかというラインナップ。
お店に行きたいと思っても離れた大阪ではそうもいかず…
そんなクッキークルーストアが大阪から東京都に移転すると聞いて、是非ともお話を聞きたいと思った。
9/20の移転オープンから1か月経った10/20、アメリカ買い付け帰国直後のクッキークルーストア村上さんに話を聞いた。
静かなところで
―移転オープンおめでとうございます。移転の経緯を教えてください。どういう心境の変化があったのか、移転を決めた要因など。
―Cocky Crew Store
ありがとうございます。
最初は大阪で移転を考えていたんですよ。
というのも、Cocky Crew Storeのお店が入っていたテナントビルの2階に若者が来るお店が出来てしまって、そういう子達が大型の量販古着屋に入る感覚でうちの店にも入ってくるようになってしまって。
若い子たちって遊びや買い物に 何人かで連れだって出かけることも多いと思うんですね。
言ったら店の雰囲気もこういう感じで、レギュラーのショップではないんで。
そういう若い子達、大学生や高校生が来て、その一見で入って来て、買おうと思えるものがある店じゃないので。
それが結構ストレスというか。
それで、そろそろアメ村が厳しいのかな、ということで、まだ大人が居る街、大阪本町淀屋橋というところがオフィス街で、その辺で探そうかなみたいなところから始まってますね。
―それから結局大阪でなく、東京、原宿になったのは?
―Cocky Crew Store
大阪で物件色々探して、申し込みをしたり動いてはいたんですよ。
何ですけど、僕の希望としては、ビルの1階、古いビルでも良いからとにかく広さがあって、路面の1階という所を希望していて。
それでいろいろ探していたんですけど、あの辺オフィス街なんで新しいビルとかだと場所が良すぎるんで、 大手さんとか法人さとか有名な企業さんにやっぱり負けちゃうんですよね。申し込みの段階で。
逆に古いビルだと、もう取り壊しが決まっていて、 新規の入居募集してないよとか、そんなところばっかりで。
なかなかそれで 2、 3ヶ月苦労したんですよ。

それでやっているうちに、 インスタグラムの広告のアルゴリズムで、あ、こいつ物件探してるんや、みたいな感じで東京の物件が出始めたんですよね。
その時に、意外とその東京と大阪の家賃がそこまで大きく変わってなかったんですよね。
東京の家賃ってもっと物凄い高いイメージだったんですけど、それがそこまででもなく、あれ、これってもしかしていけるんじゃないか、みたいな価格帯の物件がちらほら出てきて。
そこからまあ東京に元々知り合いが多いんで、まずエリアはどこが良いかとか、そんなところから始まって色々教えてもらいながら、最終的にここに辿り着きました。

―それでもご家族もいらっしゃって、大阪から東京まで引っ越すというのはかなり大きな決断だと思うのですが。
―Cocky Crew Store
そうですが、中学生の頃からやるって決めたら絶対やる性格で、やりたい事しかやりたくない、みたいな所があって。
正直結構安易に決めました。あ、じゃあやってみようかみたいな。
行ってみようか、みたいな感じで決めたんですけど、そこからは大変でしたね。

―というのは物件を決めてからではなく、東京に行こうと決めてから、物件を探されたんですか?
―Cocky Crew Store
どちらもですね。結構同じタイミングで。
店の方が先に決まって、家が苦労しましたね。
家で猫を飼っているんでその辺で苦労しました。
それで店まで歩いてこられる距離で探したので、この辺では中々見つからず。
―このお店は原宿の外れみたいな場所なのですが、そこはやっぱり原宿でも繁華街じゃなくて、ちょっと外れたところが良いみたいな気持ちがあったのですか?
―Cocky Crew Store
結局一緒なんですよ。
大阪の時に人がいっぱい来るっていうのが、自分の店と合ってないし、自分的にはしんどいな、というのがあったので、原宿の人通りが多いエリアではなく、ここまで来てる方が。
逆にここからだと、アパレルの事務所が増えるエリアだと聞いていたんで。
今日で 1ヶ月ぐらいなんですけど、やっぱりやってみてほとんどそういうお客様がメインで来られてるんで。
ふらっと入ってこられる方ほとんどそんな感じなんで。

―確かにアパレル業界の人とか、そういった通な人が好きな古着ですよね
―Cocky Crew Store
なので、正直なところ大阪でやっていた時も、プロの方に買ってもらっていることって凄く多くて。
勿論、大阪の昔から買って頂いてるお客様っていうのは、アパレル関係の方以外でも凄い沢山いますし、なんですけど、突き抜けたものを買い付けちゃうんで。
なんだこれ、みたいな。
値段もスゲー高いぞ、みたいな。
めちゃめちゃボロいぞ、デカいぞとか関係なく、物見て良いと思えば何でも買うんで。
好きだな、欲しいな、っていう気持ちだけで買っちゃうんで。だから正直売れる売れないって考えてなくて。お店がこの規模感なんで。
自分が欲しいか欲しくないかだけで仕入れしているんで、だから、やっぱりその他のお店さんでは取り扱はない、まず仕入れないような物まで買い付けちゃうので。
その辺でプロの方には重宝がられていたとは思うんですね。
古いからこそ。けれども古いかどうかの前に
上の箱が20年代、下の箱が30年代。
下の箱はハーシュワイズというメーカーの物。
1940年代からホワイトスタッグというメーカーに変わる。
1930年より前はローズシティブランド。オレゴン州最大の都市ポートランドの愛称が「ローズ・シティ」。
―セレクトされた少数の古い物を中心に置かれていたりとか、あと洋服だけじゃなくて、飾っておけるような雑貨、インテリア、あとラグとかも印象的なのですが、そういうセレクトは昔から、大阪でやられた当初の頃からずっと好きで扱われていたんですか?
―Cocky Crew Store
そうですね。本当に売れる売れないじゃなくて自分が欲しいかどうか。
一時期多少は世の中に合わせたような仕入れとかも挑戦してみたことはありますけど、やっぱりそれって凄いストレスになるんで。
僕のモットーとして「他責より自責」っていうのがあります。
例えば、売れるもの、これが今市場で物凄い流行っています、それをアメリカで見つけて買って来て他の店より安い値段で出す。
でも売れないとなった時に、人のせいにしがちになりますよね。
何で売れへんのやろ、お客さんの感度が、と変なマインドになってしまうこともあると思うんですね。それが嫌で。
でも、自分が好きものを買ってきていたら、どう売ったら良いかを考えるんで。
―古い物と現代の物は何が違うのですか?違っていると、どういう良さ、魅力があるのでしょうか?
―Cocky Crew Store
正直なところこれって経験則なんですよね。
僕は古着自体は小学生の頃からずっと買っているんで。
そこから導き出されるものというか。
細かく言えば色々あると思いますよ。
例えば、細かなステッチがとか、色を染めている染料がとか、色々あるとは思いますけど、
それらを総合した何かがアメリカの古い服にはあるんですよね。
―細かい一点だけでなく、それらが合わさった全体の雰囲気みたいなものがやっぱり現代のものとは違うということですか?
―Cocky Crew Store
そうですね。
ただ、僕自身は正直洋服自体は何でも好きなんで、新しい服も好きですし。
今日履いてるウェストン(J.M. WESTON)の靴も履きますし、こういう凄いヴィンテージの靴①も履きます。
洋服自体が好きなので、もうすべて直感ですね。
でもそれは経験があるから、何て言うのかな、より答えに近い方に近づけているのかなという感覚ですね。
それが、良いかどうかわかんないですけども、本当に個人が自分が好きでやってるだけのことなんで。
―店に置くものも好きだからといって、結構新しいものも置くんですか?
―Cocky Crew Store
全然置きます。
そこの青色のナイロンジャケット、ストーンアイランド②です。

そういう新しいものもありますし、訳の分からん古い1890年代の絨毯もあります。
これはイギリス軍のライフベスト③。
よく分からないこういう置物の陶器のものを買ってみたりだとか。
本当に全部直感で欲しいなっていうものを買ってきて、それで分からない物だらけなんですよ。
持っている方が詳細を知っていたら教えてもらって、自分で落とし込むんですけど、でも分からず買って帰った物は帰ってから調べます。
それの積み重ねで知識ってついていくのかなっていう。
―これはかなり古いですよね④。こうなってくるとアメリカものとかイギリスものとかわかんないですよね。
―Cocky Crew Store
そうですね。1890、1900年代とかじゃないでしょうか。
―素材も現代の物とは全然違うってことですよね。
―Cocky Crew Store
再現出来ないんですよね。
いくら同じ配合しても、無理なんですよね。
―素材感、生地の感じが、今では絶対作れないようなものになっているんですよね?
-Cocky Crew Store
誰かが上手い例えをしていたんですよ。
例えばなんですけど、お菓子を作る、これとこれとこれが入っているけど、でもそこから先は分からない、みたいな状態ですよね。
どれくらい入っているんだろう、それも分からないし。
―例えば古いコットンと今摘むコットンでは違うってことですよね。
―Cocky Crew Store
そうです。それを精製するやり方も違うでしょうし。染料も違いますし。
リネンの軍物の生地。第一次世界大戦頃やそれ以前の古い生地はハンドステッチが多い。
―Cocky Crew Store
70's、80'sナイロンジャケットも置いています。
それこそこのカーハートのジャケット⑤は90’ですからね。ただこのカーハートジャケットは一点ものなんで。

⑤
―Cocky Crew Store
各ジャンル各年代の面白い物を買うのが好きです。
このカーハートにしてもこんなのないじゃないですか。
年代毎に自分にとって凄く良い服って存在するんで、そういうものをチョイスしてくるって感じですね。
―各ジャンル、各年代の面白いものでも、やっぱり古いものには圧倒的な雰囲気とか、そういうものが多いってことなんですよね?
―Cocky Crew Store
はい。それでやっぱり古い物ってかっこいいよねってなりますね。
instagram@cockycrewstore
online storewww.cockycrewstore.com
YouTubewww.youtube.com/@CockyCrewStore
Photo:Nobu Saito
インタビュー2につづく(全3回)




